
YOKE
“Memory Oxford Sculptural Wired Trench Coat”
この服を一目見た時、
数多くの服を着てきた人ほど、
微かな違和感を覚えるかもしれない。
しかし、その違和感こそが、
この服の入口でもある。
インスピレーション源となったのは、
ジャン・アルプの彫刻作品。
そこに見られる有機的なフォルムや、人の手によって紡がれる美しい線を、
トレンチコートというクラシックな衣服へと落とし込んでいる。
縫い目にはワイヤーが内蔵され、
着る人自身の手によってラインを作ることができる。
身体の動きや、その日の感覚によって、
服の輪郭は少しずつ変化する。
その意味で、これは単なるトレンチコートではない。
着る人の身体と呼応しながら、
その都度異なる表情を見せる、
ひとつのアートピースに近い存在である。
「衣服とは何か」
「私たちが身に纏っているものは何か」
シンプルでありながら根源的な問いを、
静かにこちらへ投げかけてくる。
そのものづくりには、
デザイナー寺田氏からの明確な意思を感じる。
一方で、デザインは過剰に語りすぎない。
表地に馴染む”くるみボタン”を用いるなど、
視覚的な要素は抑制されている。
造形的な強さを持ちながら、
余計な装飾へと向かわないところに、
YOKE らしい均衡がある。
トレンチコートという、
極めてクラシックな衣服。
そして、ジャン・アルプが身を置いたダダイズムという、
伝統的な芸術を否定し、既存の価値を揺さぶろうとした思想。
一見すると相反する二つの要素を重ねることで、
見慣れたはずのトレンチコートに、新たな不自然さが生まれている。
クラシックな形を知っているからこそ、
その違和感はより鮮明に立ち上がる。
そしてその心地よい不自然さこそが、
YOKE が提示する新しい服のかたちなのかもしれない。
YOKE / Memory Oxford Sculptural Wired Trench Coat
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