端正をほどく


ERiKOKATORi
“kuzurikeori cut-edge jacket”


展示会で初めて見た時から、

強く印象に残っていたジャケット。

端正に仕立てることを前提としたジャケットとは少し違う。

どこか未完成のまま残されたような、
余白のある表情に惹かれた。

使用しているのは、
創業100年を超える葛利毛織工業のヘリンボーンツイル。


ゆっくりと時間をかけて織り上げられた生地は、
ふくらみのある柔らかさとほどよい弾力を持ち、
カシミヤを思わせるようななめらかな質感を備えている。

控えめな光沢もあり、
素材そのものに十分な存在感がある。

その美しいウールを、
ただ端正に仕立てるのではない。

あえて裁ち切りの仕様を取り入れ、
少し崩したような表情へと導いている。


袖口や裾から覗くシアーコットンの裏地も印象的である。

ウールの持つ重厚さに対して、
軽やかな抜けを生み出している。


上質な素材と、
未完成さを残したようなディテール。

相反する要素がひとつの服の中で重なることで、
クラシックなウールジャケットとは異なる輪郭が生み出される。

ジャケットとしての品はありながら、
決して堅くなりすぎない。


きれいに着るというより、
ラフに羽織る。

その曖昧な距離感が、
スタイリングに自然な奥行きを与えてくれる。

ERiKOKATORi らしい、
整いすぎない美しさを持つ一着。


ERiKOKATORi / kuzurikeori cut-edge jacket

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